除目日誌

たのしい毎日

大学が爆破されました

久しくブログを更新していないことに気づいたので、こないだ大学に爆破予告が来た時に書いた文学作品を載せておきます。

 

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五月、雨が降りしきる名古屋大学──建物は艶を増し、大地は黒さを究め、水溜まりには生態系が生まれようとしている中、1本の導火線が、名城線が……

「着火!」

何者かの声とともに、爆破!!!紫色の帯を纏った車両が、6両!深いトンネルを、それでも打ち砕き、地上へ!暴れ狂う名城線!山手通は燃え始めた。それと同時に、爆発!爆発!爆発!大学が、私たちの大学が!

建物は燃え、地面はえぐれ、植物たちは息絶える。

地獄絵図!高木家文書にすら載っていない、地獄!未だかつて我々が経験したことのない爆発!

炎と煙は文系学部、工学部、理学部、農学部、豊田講堂、その他おおよそすべての建物を巻き込み──更地へと帰る名古屋大学!東山移転からの日々が夢だったかのように!更地に!

いったいどれだけの火薬が使われたものか。しだいに、硬い硬い岩盤が露出してくる。

 


「人の顔だ!」

 


鏡が池に、立派な下顎の影!キャンパス中にひとしきり炎がまわり、それがおちついたころ──額が!眼が!耳が!鼻が!口が!眼鏡が!!

更地になった名古屋大学に浮かび上がったのは紛れもない人の顔──松尾清一総長だった。

 


「総長ビーーーム!」

青と緑の光が発射。右眼からはNUグリーン、左眼からは東海国立大学機構のブルー。光は世界をつつみ、辺り一面青緑になった。人類は光に焼かれ、魂は高度な精神世界へ──すべてが「夢」に包まれた、ヴァーチャル・岐阜大学の世界へと送られた。今、人類は幸せだ。